2009年6月21日日曜日

著作権の話し

著作権・・・・・避けては通れない話しだが、考えると気が重くなる。5月頭の新聞にも記事が載っていたが、国内のテレビ番組を海外在住者向けに配信していた会社が、著作権法違反の容疑で摘発された。

ジェーネットワークサービスインターナショナルの経営者は、月数千円の料金で、NHKと民法の番組をそのまま配信していた。

このサービス自身を考えると、非常に便利だ。私自身、10年以上前に海外赴任した時には、日本のTV番組が恋しくなり、住んでいた場所の側にあるヤオハンにテナントで入っているレンタルビデオショップに通ったものだ。

そこは韓国系の移民の方が経営していたのだが、販売されているオフィシャルなビデオに加えて、最新の日本のテレビドラマが1週間遅れで入荷されていた。当然、違法コピーである。CMも含めて、すべて録画されたものだ。

メディア人として考えると「著作権は守るべきモノ」と感じる。しかし同時に、Web人として考えると「解放していく方法を考えるべきモノ」とも感じてしまうのだ。

ステークホルダーがどうこうとか、著作権者がどうこうと言う話しではなく、単純にユーザーとして何が欲しいのか?という議論がなされていないように思える。

現に、出版メディアの中でも、過去のアーカイブをどのように活用していくかで議論はされている。創刊されてから100年以上経つ雑誌もある。このバックナンバーには、歴史的価値のある情報が詰まっていて、過去のコンテンツをデータマイニングしていけば、世の中のファッション動向から、色々な事実が分かってくるだろ。これは宝の山なのだ。

しかし、著作権法がこの宝の利用に待ったをかける。過去のコンテンツに含まれている、画像やテキストの著作権だ。自社で大半(或いはすべて)の著作権を保有できる、新聞系メディアは良い。過去記事を、どう使おうと自由かもしれない。それに対して、ファッション系や音楽系といったメディアは、保有するコンテンツの大半が、他者の著作権物から成り立っている。利用の仕方にもよるが、二次利用と言うことになると、必ずコストが発生する。確かに、外部のカメラマンやライターの権益を守る事は重要だ。しかし、それらの著作権益を永遠にも近い時間に対して与える事が妥当かを考えたい。

Googleブック検索にしても同じだ。日本の著作権保有者達は、自社の著作権物をgoogleがインデックスすることを認めないと言うのだ。

では、どうするのだろうか?このまま価値のあるコンテンツを、自社の保有物として歴史の狭間に葬り去るのだろうか?ユーザーは、それらの価値がある情報が欲しいのだ。Googleにやられたくないのであれば、自社で公開する方法を考えて欲しいのだ。

そして、こうやって既存のメディアが進まない議論をしている内に、誰かが他者のコンテンツを利用して儲けているのだ。

結論のない議論はやめよう。早く動かないと、メディア共々、著作権者も滅びるかもしれない。


2009年6月14日日曜日

印刷業界向けのセミナー

先週の金曜日は、取引先の社長からの依頼でセミナーの講演などをやってきました。
ビジネスを支えるクロスメディア

JAGAT(日本印刷技術協会)が主宰している「クロスメディアエキスパート資格試験」のための、勉強セミナーという事で、元々は印刷業界に従事する方々のためのものらしい。

雑誌・新聞が調子よくないとなれば、当然印刷業界も打撃を受けるわけであって、色々と新しい分野に視野を広げようと努力をしているようです。

しかしながら、まだまだ印刷を中心とした制作物に視点がいってしまう傾向があるように思え、これからどのように、メディアを捉えていくかがポイントですね。

主婦の友と大日本印刷のエントリーでも書きましたが、まだまだメディアと印刷会社が組んで出来ることは沢山在るはず。

今回の講演は、初めて別業界の方々向けだったので、どのレベルでお話しをすれば良いか、ちょっと悩みましたが、まあまあ上手く出来たのではないかと。

 

2009年6月12日金曜日

雑誌営業からWebの営業へ

先日、同僚と話しをしたときの事。

雑誌の営業として二十数年の私の先輩にあたる方ですが、年齢の割(失礼)にはWebに対しても積極的な方です。専門系の雑誌営業としてやってこられて、昨今の不況にも負けず新規軸の提案を得意先にぶつけていく。

そんな彼も、組織の複雑化によって広告が売りにくくなっているとぼやく。Webの部門が出来上がって、ウチのサイト(彼の担当雑誌のWeb版)もそっちで一括でやるようになってから、色々やりにくいとのこと。

そして、私の部門の営業担当者は、「雑誌の言うとおりにやっていたら、いつになってもWebとして独立できない」という。

どちらの言うことも正しい。雑誌から派生したWebメディアは、雑誌広告のパッケージとして売っている内は、採算性が向上しない。しかし、Webとしても単体で売れるほどの力がない。

どこも同じだなと感じる。時代に取り残されつつあるオールドメディア企業では、ネットを理解している人間が、ネットの世界の言葉で、ネットを知らない人に文句を言う。そして、ネットを理解しない人は、オールドメディアの論理で、ネットを知っている人に文句を言う。

いつになっても、溝が埋まらない。こんな事では本当に終わってしまう。

せめて、もう少し、オールドメディア出身のWeb理解者が立ち回れる環境を作れないものか?
オールドメディアからWebへの事業シフトを(採算ベースではなく、メディアとして)成功させた企業の人材に、もっと活躍して貰えないのか?

確かに、昔からいる会社は、居心地がいいかもしれない。だけど、今こそ古巣を飛び出して、自分たちの経験を、世のメディア企業のために活かすべきじゃ、ないだろうか?

 

2009年6月11日木曜日

出版社への期待とは、この程度なのか?

確かに自らが幼少の頃、雑誌のフロクは楽しみにしてたと思いますが・・・・。雑誌に10年程携わってきた者としてみると納得がいかないのだけれども、世の中の現実は、こんなものか。

雑誌購入者の6割が「フロク目当てで購入」、人気アイテム1位は「CD-ROM」2位は「バッグ・ポーチ」

この分野では、宝島社が自ら雑誌付録の工場を中国に持つなど、女性誌の分野では各社が凌ぎを削っているようです。

各出版社共に、広告・販売収入が減る中で、少しでも広告費と部数を稼ぐために、あらゆる手段をこうじていますが、現実は厳しい。ファッション誌に同梱される付録の大多数は広告主の商品ですが、これらもコストは出版社持ち。広告主からしてみると「あなた方、私たちのブランドを使わせてあげるんだから、感謝しなさい」と言ったスタンス。

これでは、メディアはビジネスを維持していけない。本来であれば、メディアの流通とスペースを利用して利益を享受する広告主が持つべきコストを出版社が持っている。

ファッション誌の未来は暗いか。